『アーミー・オブ・ダークネス』最強の古代戦士、復活

かつて絶大な力を誇ったフン族アッティラ王。
それを支えたのは秘宝モーセの杖。
秘宝を手にせんと現代アメリカが最強の古代戦士に戦いを挑む。

基礎情報

原題:ATTILA
2013 アメリカ アサイラム 85分
監督:エマニュエル・イティエ
主演:シーク・コンゴ、クリス・コンラッド
字幕翻訳:不明
キャッチコピー(?):アメリカ VS 暗黒魔神軍

総合レビュー(ネタバレなし)

みなくて良いです。

良いです、みなくて。

言わずと知れた最強の映画制作集団の一つ、アサイラム。
数々の駄作を世に送り出し続けるアサイラムですが実はたまに当たりも出すのです。
それがこの映画は”逆”、外れを当てちゃった映画なのです。

この映画にはほとんど何もありません。
ただ時間が流れていくだけの苦痛を味わうことになります。
所謂「クソ映画」というのがどういうものか、どう楽しむべきかをまだ知らない人はやめておいた方が無難でしょう。
残念ながら耐性がある人にはお薦め、という映画でもありません。

この先ネタバレを含みます

アーミー・オブ・ダークネスをみて

Huluでみました。
この投稿時点ではhuluはシャーク・ネードを始めとしたアサイラムの特集を組んでいます。
映画を探しながら意図的にその特集を避けたはずがしっかりと捕まってましたアサイラム。
映画が始まってオープニングしながらクレジットが入るんですが、そこでアサイラムの文字を見たときやってしまったかなと思いました。
いつもいつもパッケージは面白そうなのが卑怯なんです、古代の魔神と現代アメリカ軍の戦いなんて胸躍るじゃないですか。

何も起きていないような時間

簡単に起承転結を書くと、
主人公率いる部隊がモーセの杖を発見するも仲間は身内の教授に殺される。
古代戦士復活。
新たな部隊を結成し古代戦士と対決し辛くも杖を取り戻す。
古代戦士の父親も復活し親子対決が始まるが最後は爆発して完。
こうなる。

この映画がつまらない理由は単純に退屈だから。
少しの緊迫感も無い会話、一切迫力の無いアクションシーン。
しかしそこは仕方ない、何と言ってもアサイラムだ。きっと超低予算の短い期間で形だけ仕上げたのだろう。
致命的なのは数々の粗を隠すための勢いが無ければ、個性的過ぎてどうしようもないキャラクターもいないということ。
せめてどちらかが無いとクソ映画としても笑うのは難しい。

かろうじて感じられる個性

若干ではあるが迷キャラクターになれる片鱗があった箇所を紹介しよう。

主人公のヴィトーは命令に忠実な軍人オブ軍人という性格で、過去に死なせてしまったらしい部隊の仲間たちの亡霊にほぼ常にうなされている。
彼はこの亡霊に対して銃を向ける。
そして場合によっては声をかけてきた生身の人間に亡霊を重ね発砲までしてくる完全にやばい奴である。
さらにその内容についての説明や解決は無いと言って良く、終わってから何のために尺を割いているのか考える必要があった。
私の結論としては今まで上司の命令や戒律に一切合財忠実に従ってきた生き方と、そのために死なせてしまった多くの部下たちとの葛藤の表れだったのではないか。
そして終盤で上司の命令に背き一人生き残った部下を守ったことでこの亡霊たちともお別れできたのではないかと考えられる。
しかしこの設定やヴィトーの成長が何か映画的に重要な意味を持っていたかというとそんなことは全くなかった。

そのヴィトーの上司の将軍。実はこの人が一番やばい人。
冒頭でヴィトーの仲間を殺すように指示したのも(おそらく)こいつ。
今回のモーセの杖を始めとして数々の秘宝を集め不死身の最強戦士で軍団を作るとかいうことをやってた映画の黒幕がこいつ。
そういった実験等で過去に起きた重大な事故に関わってたのもこいつ。
この度元々の目的を捨て、治療不可とされた自分の癌を治そうとしていたのもこいつ。
間接的、直接的に散々人を殺したり見捨てたりしてきていながら古代戦士と戦うヴィトーを心の底から信頼して、悪く言う奴をどやしつけるツンデレもこいつ。

終盤の癌が告白されるシーンで今まで私は何をみてきたんだ感が最高潮だった。

気の入らないアクション

一番の問題はやはりアクションにある。
そもそもパッケージにあるような「アメリカ VS 暗黒魔神軍団」ではないうえに、燃え盛る市街地や明らかに強そうな古代人っぽい男性三人、そのどちらも登場はしない。
舞台はそもそもどこかの森だし暗黒魔神軍団の内訳は主に一人だ。

暗黒側のその一人こそ今回復活を遂げたノーマッドで、彼はアッティラ王の息子。
ノーマッドには一応杖を守るという使命があるようでそのためにアメリカ軍と戦うわけだが、その迫力の乏しいことこの上ない。
個体としては不死身であるしもちろん強いので銃弾などは一切効かないが、そのアクションはパワーにものをいわせた猪タイプだ。
多分着ぐるみが重いか伸縮性の無いタイプなのだろう、動きがめちゃくちゃ固い。
走るシーンでもちょこちょこと小走りで若干笑いを誘ってくる。
特撮もののヒーローショーがどれだけ機敏で格好良い動きをしているかが良く分かる。

終盤杖の力によって甦ったアメリカ軍側の不死身の戦士が登場するが、ノーマッドとこの不死身戦士の戦いにおいても一切の盛り上がりはない。
ついでに唐突に登場してくるアッティラ王とノーマッドの夢の古代人対決も実現するが、やはり盛り上がりの”も”の字を見せない。
このシーンに至っては盛り上がるかどうか以前に一体何を見せられているのかという疑問が脳内で反復横飛びを始め理解することすら困難だ。

無理やり良いところ

それだけ残念な映画でも無理やり見所を設定することもできる。

アクションは薬にも毒にもならないような無味乾燥の出来であるものの、アジア人という唯一の救いがある。
このアジア人は中国人のようで、こいつだけやけに贔屓されたカメラワークでノーマッドとのアクションが用意されている。
銃弾を弾く肉体と壁を貫く拳を持つノーマッドに対して彼の放つアクロバティックな攻撃はそこそこ効いているらしく、最後はノーマッドも本気のバックブリーカーを繰り出しアジア人の撃破に成功するのだ。

他に救いを求めるなら、生き残る女の子がちょっと可愛いということだろうか。

スポンサーリンク

シェア

フォロー