『シリアル・ママ』 母は強し……?

敬虔な信徒であり周囲の評判も高いある一家の母親。
彼女は家族を脅かす者やルールを守らない者、ちょっぴり考えの違う者に容赦はしない。
悪は滅びろ。今、母親の快進撃が始まろうとしている。

基礎情報

原題:Serial Mom
1994年 アメリカ 95分
監督:ジョン・ウォーターズ
主演:
字幕翻訳:(後日)
キャッチコピー:正確には不明
ポスターには「殺人犯こそスーパースター!!」
「超ムカつく―、みたいな」「気をつけろ!ママを怒らせると血の雨が降る!」 とある。

総合レビュー(ネタバレなし)

世間の評判も良い一家の母親が次々と殺人を繰り返していく物語。
少々ブラックなコメディとして作られているが実話をベースにしている。
殺人ものとはいえ映画としては母の快進撃を楽しむべきなのかもしれない、精力的な母に対して振り回されてはオロオロしている家族も味わい深い。
殺人方法は種類に富んでいてママさんの豊かな発想力を楽しむこともできる。
途中から登場する、事件に便乗して盛り上がるだけの野次馬達のようにあくまでコメディとしてみることができれば、その行動力と軽快な殺人は笑いを誘うものになるのかもしれない。

この先ネタバレを含みます

シリアルママをみて

ある一家の母親であるビバリーが自分の気に食わない人物を連続的に殺害していく物語。
気に食わないと書くと少し意味がずれてくるかもしれない。
ビバリーは息子を悪く言う教師を轢き殺したり、娘を振って他の女といちゃつく男を刺し殺したり、レンタルビデオの返却時には巻き戻すという規則を守らなかったおばちゃんを撲殺するなど、何かしらビバリーにとって不道徳的な行いをした人物を狙って殺害に及んでいる。

ビバリーとその一家

途中教会の集会で祈りを捧げるシーンがあるので本人やこの一家はクリスチャンということなのだろう、そしてその教えがある種の強迫観念となって頭を支配していてそれらに反するものを見ると我慢ができなくなるのだと考えられる。
ただ食事中の夫婦や殺害現場を目撃した息子の友人も殺害しているので教えと直接関係があるかどうかに関わらず、単に自分の考えと合わず許せないと感じたら犯行に及ばざるを得ないのかもしれない。
特にラストの場面で秋を過ぎても白い靴を履いていた女性はあまりにも可哀相だった。
どうやらその時期では白い衣類を身に付けないというのが古い文化としてあったようで、それに反するため殺害されてしまったが、これで殺されていたのでは命がいくつあっても足りない。現代とのギャップを感じる場面だ。

これだけ事件を起こしていてもこういった殺人衝動は昔から備わっていたものでは無いようで、それは家族がいるという事実と初めの近隣友人である女性に卑猥ないたずら電話を仕掛けていることから分かる。
ビバリーの持ち物には殺人に関する様々な書籍があったり、殺人に関する新聞記事の切り抜きも集めていたりする。
殺人で投獄されている人物から送られたという愛を歌うカセットテープが発見された時はさすがに笑ってしまった。
元々殺人者としての素養が備わっていてそれが長い時間をかけて少しずつ衝動として大きくなっていき、ここにきて一切の抑えがきかなくなってしまったのだろう。
しかしそう考えると「教えに反するから殺すのでは?」という考えがあまり意味を持たないかも知れない。シリアルキラーの考えることは分からないものだ。

全体として

本編はコメディ映画として作られているのであまり恐ろしさは感じられないが、これが実話ということでよくよく考えると非常に凄惨な事件であるということが分かる。
その上ビバリーはどうやらかなりの切れ者のようで、逮捕された後の裁判では自己弁護を申し立て、見事に無罪を勝ち取っている。

どこまで脚色なのかは分からないがこのシリアルママはビバリーが段々とカリスマとして人気者になっていく様も描かれており、町のクラブに顔パスで入れたり「私も殺してみたい」と触発される人物も登場するなどやはりコメディはコメディなのだ。

他にもコメディっぽさの見られる場面は細かいとはいえ随所にちりばめられていて、娘や娘の恋敵が男に出会うたびに(恋人が死んだ直後でも)色目を使うのは全編通して行われている。
多少グロテスクなシーンはあるものの、昔のホームビデオ的なホラーっぽい雰囲気のコメディの95分なので、夜突然映画が観たくなったときなど相性が良いかもしれない。

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